文書の作成やインターネットの利用など、いろいろなことに大活躍のパソコン。
最近では動画コンテンツの視聴や再生にパソコンを使う人も増えて、TVやオーディオセットの代わりにパソコンを使うことも一般化しているようです。
パソコンがこのようにいろいろな用途に使われるようになると、当然ながら起動している時間が長くなります。
すると、いろいろな不具合が発生する場面も増えることになります。特に、機械的な可動部の不具合は振動やがたつきを生み、異音の原因となることも。
今回は、パソコンの内部から発せられる異音について、その解消法についてご紹介しましょう。
原因
原因 | 対処方法 | 対応難易度 |
---|---|---|
ハードウェア側の問題 | ||
HDDの異常 | 至急、データのバックアップ >対処方法を確認する |
初心者:★ |
冷却ファンにケーブルなどが干渉している | ケーブルを正しい位置に固定 >対処方法を確認する |
中級者:★★★ |
ドライブ類の取り付け不良 | ガタツキの確認・ネジの増し締め >対処方法を確認する |
上級者:★★★★ |
拡張ボードが振動 | ステーを使用して振動を止める >対処方法を確認する |
上級者:★★★★★ |
対処方法を試す場合は、必ず自己責任の上で行ってください。
万が一、症状が悪化しても当サイトでは責任は持てません。初心者や自信がない方は、パソコンの専門知識を持ったメーカーや販売店・パソコン修理業者に相談することをお勧めします。
4つの対処方法
異音の原因の殆どは、機械的な不具合です。
パソコンの内部からギギギやガガガといった音がするのは、明らかに異常です。ただ、その音の発生源によって、緊急度は違ってきます。
パソコンから異音がする理由は様々ですが、その殆どは機械的な不具合と考えて良いでしょう。デジタルな電子パーツの集まりのようなイメージがあるパソコンですが、実際には機械的に動作する部品もたくさん使われています。
その部品が劣化して動きに振動を伴うようになれば、そこから自然と音が発生することになります。
たとえば、CPUクーラーなどに使われている冷却ファンは異音の発生源として第一に疑われるパーツです。最近の冷却ファンでは、回転軸に高精度のベアリングを使用して非常に滑らかな回転が得られるようにしたものが一般化しています。
また、軸の形状に工夫を凝らし、耐久性と静粛性を両立させた製品もあります。しかし、これらにしても使用に伴う劣化は避けられません。使用に伴いオイルの劣化や流失が起こり、それによってパーツの磨耗が進めば、いずれ異音を発するようになります。
冷却ファン以外のパーツでは、CDやDVDなどの読み書きを行う光学ドライブも異音を発生することがあります。また、稀ですがHDDも異音を発することがあります。
1.HDDからの異音は、故障状態の証
初心者:★
もしHDDから異音がする場合は、そのHDDが壊れる寸前であることを示しています。
音が出始めた時点で既に不具合が発生しているともいえますから、できる限り早く、格納されているデータを救出する作業を始めるべきです。
HDDは、密閉された空間内で磁性体を塗られたディスクが高速で回転しています。このディスクに対してデータを読み書きするヘッドが高速に移動しますが、異音が出ているということは、このディスクの回転軸かヘッドの移動機構のどちらかに不具合があるということです。
これらに不具合が発生すると、高速で回転するディスクにヘッドが接触し、ディスク表面にダメージを与えます。いわゆるクラッシュがこの状態です。
ただ、最近のHDDは複数のディスクの両面にデータを書き込むものが多いので、1枚のディスクの片面でクラッシュが発生しても別のディスクに書き込まれたデータは無事の可能性もあります。
HDDから異音が出ているのはそれ自体が異常ですが、HDDにアクセスができるうちなら、データを他のメディアなどに救い出せる可能性があります。
※どういったメディアに保存できるのか判からない方はデータやファイルのバックアップを取る方法を参考にしてみて下さい。
いずれにしろ、異音が出始めたHDDをその後も使い続けるのは危険です。早いうちに新しいドライブを用意し、データやプログラムを移行する準備をするべきです。
2.ケーブルを正しい位置に固定
中級者:★★★
冷却ファンの場合は、回転するブレード部にパソコン内部のケーブルが干渉することで異音が発生する場合もあります。
これは、パソコンのケースを開けてみればすぐに発見できるものです。
パソコンの内部には、未使用のものも含めて多数の電源コネクタやケーブルがあります。通常、これらは固定されたり束ねられたりしています。
しかし、引っ越しや配置換えなどでパソコンを移動した際に固定が外れることは容易に考えられます。
もし、パソコン本体を移動した後でガガガなどの音が出る場合は、ケーブルやコネクタなどがファンに干渉している可能性があります。
そのまま長期間使うとケーブルの皮膜を破ったりファンのブレードを破損させたりしますから早急にチェックするべきでしょう。
デスクトップ機の場合は、メモリの追加・交換や拡張ボードの入れ替えなどのためにパソコンのケースを開ける機会が少なくありません。
パソコンのケースを開けたときには、ケーブルの取り回しや固定の状態を確認することは、不具合を未然に防ぐ意味でとても重要です。
3.ガタツキの確認・ネジの増し締め
上級者:★★★★
冷却ファンや光学ドライブでは、モーターによってファンやディスクを回転させることで機能を実現します。
しかし、回転するファンやディスクが完璧にバランスが取れたものであることは稀です。つまり、これらは回転によって僅かながら振動を発生させるのが普通です。
そのため、モジュール本体に問題がなくても、その取り付け方法や設置の状態が変化することで異音を発生させることがあります。
通常、これらの機器はネジによってパソコンのケースに固定されています。
しかし、その取り付けが不完全であったり使用によってネジが緩むなどすると、振動による異音を発生するようになります。
たとえばCPUの冷却ファンの場合は、CPUの負荷が増してファンの回転が上がる際にビビリ音を出すことがあります。また、光学ドライブの場合は、ドライブに挿入したメディアの一部にシールが貼られるなどしている場合に異音を発することがあります。
これらは、いずれも回転体のバランスが確保されていないことによる振動を原因とするものです。このため、ドライブ本体がネジなどによってケースにしっかりと固定されていれば音は出ません。
ネジが緩めば、ドライブ本体とケースの間に隙間が生じます。
その状態でドライブが振動することで異音を発生させます。これらの異音は、ネジの増し締めを行うことで消えることがほとんどです。
4.ステーを使用して振動を止める
上級者:★★★★★
冷却ファンを備えた拡張ボード類が振動し、異音となっている場合もあります。特に注意したいのがビデオカード。
最近のビデオカードは発熱の多いGPUを搭載しているので、冷却ファンも大型のものが搭載されています。つまり、ファンによる振動も少なくないのです。
一般的に、ビデオカードはマザーボードに対して直交する位置関係で設置されます。さらに、固定部がマザーボードとビデオカードの端子部とパソコン後部のケーブルコネクタ部だけとなります。
このため、ビデオカードの基盤そのものが冷却ファンの振動を増幅するような状況になる場合もあります。
GPUチップを冷却するために備えられた冷却ファンが振動源となる場合、ガガガやギギギという異音ではなく、低周波のブーンという音が出やすいようです。
拡張ボードが共振して不快な音を出している場合は、ボードの共鳴を止めるように、しっかりと固定するのが定石の対処となります。
具体的には、ステーを追加して基盤をしっかりと固定するか、よりしっかりと装着できるコネクタに装着場所を移動するかになります。
ネットの執事さんからのアドバイス
パソコンの異音は、それが発生する場所やパーツによって、その後の対応が大きく変わります。
ハードウェア的なトラブルなので、初心者の方が自分で直すことは難しいと思いますが、覚えておきたいのは、音の種類や大小ではなく、異音が発生するパーツによって、重要度が大きく違うということ。
そのため、今までにない変な音が聞こえたら、どこから発生しているかを確かめる必要があります。
ちなみにパソコンがメーカー製の場合は、サポートセンターに連絡することで、電話で音を確認してもらうこともできます。気になる音が出始めたら、スピーディに対応すればそれだけ復活も早くなりますので、重大な不具合が発生する前に、気軽に利用するのがおすすめです。
早く修理に出したい気持ちもわかりますが、修理に出す前に確認しておきたいこと・決めておいた方が良いことが色々とあります。特に初心者の方には、修理を依頼する時の悩みや疑問の解決にもなると思いますので、下記の記事を参考にして、修理に出してみましょう!